不動産売却を検討する際、「仲介手数料はいくらかかるのか」「支払うタイミングはいつなのか」といった疑問を抱えていませんか。仲介手数料は売却時の諸費用の中でも大きな割合を占めるため、事前の理解が資金計画の精度を左右します。
そこで本記事では、仲介手数料の基本的な仕組みから計算方法、上限額、支払時期、よくある質問、仲介手数料以外にかかる費用までを解説します。読み終えたときには売却全体にかかるコストの全体像を把握でき、安心して売却の一歩を踏み出せる知識が得られますので、ぜひ参考にしてください。
不動産売却の仲介手数料とは?

仲介手数料とは、不動産会社が売主と買主の間に立ち、売買契約を成立させたことに対する成功報酬です。宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣が告示で上限額を定めており、上限を超えた金額の請求は法令違反となります。ここでは、仲介手数料を「誰が」「いつ」支払うのかという基本的な仕組みを整理します。
誰が支払う?
仲介手数料は、媒介契約を締結した依頼者、つまり売主と買主のそれぞれが自分の依頼した不動産会社に対して支払います。宅地建物取引業法第46条および昭和45年建設省告示第1552号により、不動産会社は依頼者の一方から受領できる報酬の上限額が定められているためです(※)。
具体的には、売主から売却の媒介を受けた会社は売主に、買主から購入の媒介を受けた会社は買主に請求します。売主と買主の双方から同じ会社が媒介を受ける「両手仲介」の場合でも、それぞれの依頼者から個別に上限額の範囲内で受領する形になります。
したがって、売主が買主分の手数料まで負担する義務はなく、あくまで自分が結んだ媒介契約に基づく支払義務のみを負う点を押さえておきましょう。
※参照元:
国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html)
e-Gov法令検索「宅地建物取引業法 第46条 」(https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176)
いつ支払う?
仲介手数料の支払時期は、売買契約締結時と物件引渡し時(決済時)に半額ずつ支払う分割払いが一般的です。宅地建物取引業法上は支払時期に関する明確な規定がなく、媒介契約書や個別の合意によって定められます。
実務では、契約成立という成功報酬の性質を踏まえ、契約締結時に50%、引渡し・決済時に残り50%を支払う二段階方式が広く採用されています。一方で、決済時に全額を一括で支払う契約形態を採る不動産会社もあります。
売主にとっては、契約時点で自己資金から手数料を用意する必要があるかどうかで資金計画が変わるため、媒介契約を結ぶ前に支払時期と金額を書面で確認しておくと安心です。
不動産売却の仲介手数料の計算方法

仲介手数料の上限額は、宅地建物取引業法第46条第1項に基づく告示(昭和45年建設省告示第1552号)によって、売買価格に応じた料率で算定されます(※)。段階計算方式と実務で用いられる速算式、金額帯別の早見表という3つの方法で、不動産売却の手数料額を計算できます。
※参照元:
e-Gov法令検索「宅地建物取引業法 第46条 」 (https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176)
国土交通省「宅地建物取引業法関係 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」 (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000266.html)
上限額の計算式
仲介手数料の上限は、物件価格を3つの区分に分け、それぞれに料率を乗じた金額を合計する方式で算定します。国土交通省が告示で定めた料率は、200万円以下の部分が5.5%、200万円超400万円以下の部分が4.4%、400万円超の部分が3.3%となっており、いずれも消費税10%込みの数値です(※)。
例えば、売却価格1,000万円(税抜)の場合、以下のように仲介手数料の上限額を計算できます。
- 200万円×5.5%+200万円×4.4%+600万円×3.3%=39.6万円(税込)
段階計算方式は正確ではあるものの手間がかかるため、実務では次に説明する速算式が用いられるのが一般的です。
なお、告示で定められているのはあくまで「上限」であり、上限を下回る金額で媒介契約を結ぶことも法律上は可能です。
参照元:国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」 (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html)
上限額の速算式
物件価格別の速算式は、以下の通りです。段階計算方式と数学的に同じ結果になるよう調整された式であり、日常の実務で広く使われています。
- 200万円以下:物件価格×5.5%(税込)
- 200万円超400万円以下:物件価格×4.4%+2.2万円(税込)
- 400万円超:物件価格×3.3%+6.6万円(税込)
なお、令和6年7月1日以降、物件価格800万円以下の「低廉な空家等」の売買については特例が設けられ、売主から受領できる仲介手数料の上限が「30万円×1.1=33万円(税込)」までに引き上げられました。空き家の売却を検討している方は、特例の対象となるかを媒介契約前に確認しておくと良いでしょう。
※参照元:国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」 (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html)
早見表
速算式に基づく仲介手数料の上限額を、代表的な売買価格ごとに整理した早見表をご紹介します。売主が実際に負担する概算額を把握するうえで、目安として活用してください。
| 売買価格(税抜) | 仲介手数料の上限額(税込) |
| 500万円 | 231,000円 |
| 1,000万円 | 396,000円 |
| 1,500万円 | 561,000円 |
| 2,000万円 | 726,000円 |
| 3,000万円 | 1,056,000円 |
| 4,000万円 | 1,386,000円 |
| 5,000万円 | 1,716,000円 |
| 1億円 | 3,366,000円 |
いずれの金額も、速算式「売買価格×3.3%+6.6万円」で算定した税込の上限額です。実際の請求額は不動産会社との媒介契約により決定するため、契約前に見積書で明細を確認することをおすすめします。
不動産売却の仲介手数料に関するよくある質問

仲介手数料に関しては、税務上の取扱いや支払方法、無料や割引をうたう業者の仕組みなど、売主から寄せられる疑問が多岐にわたります。ここでは、実務でよく質問される4つの質問に回答します。事前に押さえておくことで、契約時のトラブルや資金面の誤算を防げます。
仲介手数料は確定申告で経費にできますか?
仲介手数料は、譲渡所得の計算上、「譲渡費用」として売却収入から差し引ける経費に該当します。国税庁の解説によれば、譲渡費用とは資産を譲渡するために直接要した費用を指し、売却のために不動産会社へ支払った仲介手数料は代表的な譲渡費用に含まれるためです(※)。
例えば、売却価格3,000万円で取得費2,000万円、仲介手数料100万円、その他の譲渡費用20万円のケースでは、以下のように譲渡所得を算出できます。
- 3,000万円-2,000万円-100万円-20万円=880万円
マイホーム売却で3,000万円特別控除を適用できれば、譲渡所得から最大3,000万円が控除される可能性もあります。確定申告時には、仲介手数料の領収書を保管し、譲渡所得の内訳書に金額を正しく記載することが重要です。
※参照元:国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm)
仲介手数料は売却代金から差し引いて支払えますか?
売却代金の受領と同日に仲介手数料を支払う「決済当日の同時決済」であれば、実質的に売却代金から手数料を充当できます。一般的な決済は買主から売主への売買代金の入金、抵当権抹消、所有権移転登記、諸費用の精算を同日中に金融機関などで行い、仲介手数料を不動産会社へ振り込めるためです。
ただし、契約締結時に手数料の半額を支払う二段階方式を採る場合、契約時点ではまだ売却代金を受領していないため、自己資金から先払いする必要があります。売却代金からの充当を希望する場合は、媒介契約締結時に「支払時期を決済時の一括にできるか」を不動産会社に相談しておきましょう。資金繰りに不安がある売主にとっては、重要な確認ポイントです。
仲介手数料は現金以外でも支払えますか?
仲介手数料は、銀行振込による支払いが主流で、多くのケースで現金以外での支払いが可能です。決済当日は金融機関で高額な資金移動が行われるため、その場で手数料分を不動産会社の口座へ振り込む形が安全かつ一般的だからです。
支払方法の選択肢は不動産会社によって異なり、以下のような対応が見られます。
- 銀行振込:決済時の同時振込が主流
- 現金持参:小規模な取引や本人希望の場合
- 小切手:法人間取引などで用いられる場合あり
クレジットカード決済やペイジー納付に対応する会社は限られており、対応可否は事前確認が必要です。高額な手数料を扱う場面では、着金確認と領収書発行の手続きを含めて、支払方法を媒介契約時に取り決めておくとトラブルを避けられます。
なぜ仲介手数料を無料や割引にできる場合があるのですか?
仲介手数料の無料や割引が可能な理由は、宅建業法で上限額が定められていますが、下限は法定されていないためです。不動産会社は上限額の範囲内であれば、経営判断として自由に手数料を設定できます。
無料や割引が成立する典型的なパターンは以下の通りです。
- 両手仲介で買主側から手数料を得られるため、売主側を無料にできるケース
- 売主が不動産会社自身または関連会社で、買主のみから手数料を得るケース
- 広告費や人件費を抑えたビジネスモデルで、低廉な報酬でも採算が取れるケース
ただし、割引を前面に出す一方でサービスの範囲が限定されたり、囲い込みにより売却期間が長引いたりする事例も報告されています。手数料の金額だけでなく、レインズへの登録状況や販売活動の内容、報告の頻度を含めた媒介サービスの質で判断することが賢明です。
仲介手数料以外の不動産売却にかかる費用

不動産売却では仲介手数料以外にも、印紙税や登記費用、所得税、測量費、クリーニング費用などの費用が発生します。ここでは、それぞれの費用について根拠となる法令や公的機関の情報をもとに解説します。資金計画を立てるうえで、事前に把握しておきましょう。
印紙税
印紙税は、売買契約書に貼付する収入印紙にかかる国税で、契約金額に応じて税額が決まります。国税庁によれば、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される不動産譲渡契約書(契約金額10万円超)に対しては軽減措置が適用され、通常の税額より低い額で済みます(※)。
軽減措置適用後の主な税額は、以下の通りです。
| 契約金額 | 軽減後の印紙税額 |
| 500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 30,000円 |
契約書は通常、売主用と買主用の2通を作成し、それぞれに印紙を貼付するため、実務上は売主・買主が1通分ずつを負担するのが一般的です。電子契約の場合は課税文書に該当しないため、印紙税は発生しません。
※参照元:国税庁「No.7108 不動産譲渡契約書等の印紙税の軽減措置」 (https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm)
抵当権抹消登記費用
住宅ローンが残っている物件を売却する際は、抵当権抹消登記が必要となり、登録免許税として不動産1件につき1,000円がかかります。法務局の公式資料によれば、抹消登記の登録免許税は「不動産の件数×1,000円」で算定される仕組みです(※)。
例えば、土地1筆と建物1棟の一般的な戸建てであれば、2,000円の登録免許税が必要です。マンションでも土地(敷地権)と専有部分で2,000円が目安になります。土地が数筆に分かれている場合は、筆数分だけ加算されます。
登記申請を司法書士へ依頼した場合は、報酬として15,000円から25,000円程度が別途発生するのが一般的な相場です。自分で申請することも可能ですが、書類作成や法務局での手続きなどに手間がかかるため、決済当日に他の登記手続きと同時に司法書士へ依頼するケースが多く見られます。
※参照元:法務局「登録免許税はどのように計算するのですか?」 (https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001325693.pdf)
所得税・住民税・復興特別所得税
不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、所得税・住民税・復興特別所得税が課されます。国税庁の規定では、譲渡した年の1月1日時点の所有期間によって長期・短期の区分が分かれ、税率が大きく異なります(※)。
所有期間別の税率は、下表の通りです。
| 区分 | 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計(復興特別所得税含む) |
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% | 20.315% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% | 39.63% |
復興特別所得税は、平成25年から令和19年までの間、所得税額の2.1%が課される仕組みです。マイホームの売却であれば、所有期間の長短を問わず譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「居住用財産の3,000万円特別控除」を利用できる場合があり、税負担が大きく軽減されます。
※参照元:
国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm)
国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm)
国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)
測量費・境界確定費用
土地を売却する際、隣地との境界が不明確な場合は測量や境界確定を行うことがあり、費用は数十万円規模となります。売買契約では「確定測量図の交付」が条件となるケースが多く、境界確定は買主保護と後日のトラブル防止のために求められるためです。
測量には、主に2種類があります。
- 現況測量:現地の形状を測る簡易な測量で、費用の目安は10万~20万円程度
- 確定測量:隣地所有者との立ち会いのもと境界を確定する測量で、費用の目安は35万~80万円程度
官民境界(道路や水路など公有地との境界)が絡む場合は自治体との協議が必要となり、期間も費用も大きくなる傾向があります。土地の状況によって費用が変動するため、売却スケジュールに余裕を持たせて土地家屋調査士へ相談することが実務上の重要ポイントです。
ハウスクリーニング・解体費用
売却したい物件の状態によっては、ハウスクリーニングや建物解体が必要となります。中古住宅は内覧時の印象が売却価格に直結し、老朽化した建物は解体して更地で売却するほうが有利なケースがあるためです。
費用の目安は、以下の通りです。
- ハウスクリーニング(3LDK程度の空室):5万~10万円程度
- 木造家屋の解体:坪単価3万~5万円程度(30坪の建物で90万~150万円程度)
- 鉄骨造・RC造の解体:木造の1.5倍から2倍程度
解体後は建物滅失登記も必要となり、土地の固定資産税評価に影響します。更地にするか現況のまま売るかは、立地や建物の状態、買主層を考慮して判断すべき戦略的な選択です。
住宅ローンの繰上返済手数料
売却代金で住宅ローンを完済する場合、金融機関に対して繰上返済手数料が発生することがあります。ローン契約で、期限前の一括返済は「金融機関が実務上の事務コストを負担する行為」とされているためです。
手数料の目安は金融機関や返済方法によって異なりますが、以下のような相場感があります。
- 窓口での一括繰上返済:22,000~33,000円程度
- インターネットバンキング経由:無料または5,500円程度
- 固定金利期間中の返済:割高になる場合あり
加えて、金銭消費貸借契約書に貼付済みの印紙税は返還されず、抵当権抹消の登録免許税・司法書士報酬も別途必要です。売却検討時にはローン残高だけでなく、完済に伴う諸費用も金融機関へ事前に確認しておきましょう。
福井の不動産売却なら宮永不動産にご相談ください
不動産売却の仲介手数料と関連費用について、要点を振り返ります。
- 仲介手数料は、宅建業法と国土交通省告示で上限が定められた成功報酬
- 速算式「売買価格×3.3%+6.6万円(税込)」で、400万円超の物件の上限額を算定
- 支払時期は、契約時と決済時の分割払いが一般的
- 印紙税・登記費用・所得税など、仲介手数料以外の費用の把握も重要
- マイホーム売却では、3,000万円特別控除など税優遇制度の活用余地
費用の全体像を早期に把握し、資金計画に余裕を持って売却活動へ臨みましょう。
本記事の監修者
宮永真孝(ミヤナガマサタカ)
所属
株式会社宮永不動産
役職
代表取締役
保有資格
宅地建物取引士/二級建築士/不動産コンサルティングマスター/賃貸不動産経営管理士/相続対策専門士/土地活用プランナー/古民家鑑定士/福井県震災建築物応急危険度判定士/一級土木施工管理技士/測量士/コンクリート技師/二種下水道技術検定
自己紹介
土木建設業でコンクリート構造物や土地に関する設計・施工の経験を積み、二級建築士として建築業務にも携わっています。不動産コンサルティングマスターとして資産活用の提案も行うほか、福井県宅地建物取引業協会の理事・無料相談員として幅広い不動産相談に対応しています。建築・土地・不動産の知識と経験を活かし、お客様一人ひとりに寄り添ったご提案を心掛けています。
福井県で不動産売却をご検討中の方は、宅地建物取引士や不動産コンサルティングマスターなど複数の専門資格を有する株式会社宮永不動産までお気軽にお問い合わせください。無料相談にて、お客様の状況に適した売却プランをご提案いたします。
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