不動産の売却を考え始めたとき、「できるだけ高く売りたい」「損をしたくない」と感じる方は少なくありません。ところが、相場や売却の流れを理解しないまま動くと、想定より数百万円も安い価格で手放してしまうケースもあります。
本記事では、不動産を高く売るための具体的なコツや信頼できる不動産会社の選び方、避けるべき行動、そして実際に高値で成約した事例まで体系的に解説します。最後まで読むことで、相場の把握から会社選び、内覧対応、価格戦略までを一つの流れとして理解でき、不動産を有利に売却するための判断軸が手に入ります。
不動産を高く売るコツ

不動産を高く売るコツは、「相場の把握」「売却方法と時期の見極め」「物件の見せ方」「内覧時の印象づくり」の4点に集約されます。独立した要素ではなく、相互に補完し合うことで売却価格を底上げします。
売却相場を把握する
不動産を高く売る出発点は、自分の物件の相場を正確に把握することです。相場を知らないまま不動産会社の査定額だけを信じると、相場より安い価格で売り出してしまい、結果的に損をする可能性があります。
相場を調べる方法は、主に次の3つです
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」で過去の取引事例を確認する
- レインズ(東日本・中部・西日本・近畿)の成約価格情報を確認する
- 不動産ポータルサイトで近隣の売出価格を比較する
国土交通省は、実際に成約した価格を集計した「不動産情報ライブラリ」を一般公開しています(※)。売出価格と成約価格は異なるため、両方を確認することで価格レンジが見えてきます。相場の把握は、「査定額の妥当性を見抜く物差し」を持つことであり、交渉の主導権を握る第一歩です。
※参照元:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)
売却の方法と時期を見極める
売却方法と時期の選択は、最終的な手取り額を大きく左右します。理由は、売却方法によって価格レンジが変わり、時期によって需要の強さが変動するためです。
不動産の売却方法は、主に次の3つに分けられます。
| 売却方法 | 特徴 | 売却価格の傾向 |
| 仲介 | 不動産会社が買主を探す | 市場価格に近い |
| 買取 | 不動産会社が直接購入する | 市場価格の6〜8割程度 |
| 買取保証付き仲介 | 一定期間内に売れなければ買取 | 仲介と買取の中間 |
時期については、転勤や進学のタイミングに合わせて住宅需要が高まる1~3月が一般的に有利です。急ぐ事情がない場合は仲介を基本とし、需要期に向けて準備を整えることが、高値売却への近道となります。
物件の魅力が伝わる写真や広告を用意する
物件の魅力が伝わる写真や広告は、内覧予約数を増やし、結果として成約価格を引き上げます。買主の多くがインターネット上で物件を最初に判断するためです。
実際に、買主の物件選びで参照される情報はネット上の物件写真と図面であり、第一印象が問い合わせ数を左右します。具体的には、次のような工夫が効果的です。
- 自然光が入る午前中や日中に撮影する
- 広角レンズを使い、部屋の広がりを伝える
- 生活感の出る私物は撮影前に片付ける
- 外観・玄関・LDK・水まわりを優先的に押さえる
- 周辺環境(公園・商業施設)の写真も添える
近年では、ドローン空撮や360度バーチャル内覧の導入も進んでおり、遠方の買主にも訴求できる手段が広がっています。写真と広告は、買主が物件と出会う最初の接点です。第一印象を最適化することで、内覧前の段階で物件の価値を高められます。
内覧前に清掃や整理整頓を徹底する
内覧前の清掃と整理整頓は、価格交渉の余地を狭め、希望価格での成約率を高めます。買主は内覧時の印象から、建物の管理状態や住み心地を直感的に判断するためです。
特に印象を左右しやすいのは、玄関・水まわり・窓まわりの3か所です。汚れや臭いが残っていると、買主は「見えない部分にも問題があるのでは」と疑いを抱きます。具体的な準備項目は、次の通りです。
- 玄関のたたきと靴箱内を清掃し、靴の数を減らす
- キッチンのコンロまわりの油汚れを除去する
- 浴室・洗面所のカビと水垢を落とす
- 窓ガラスとサッシのほこりを拭き取る
- 照明をすべて点灯し、室内を明るく見せる
費用をかけたくない場合でも、清掃と整理整頓だけで内覧時の評価は大きく改善します。プロのハウスクリーニングを依頼する場合でも、数万円の投資で数十万円単位の値引き要請を防げる可能性があります。内覧前の準備は「コストではなく、価格を守るための投資」と捉えるべき工程です。
高く売るための不動産会社の選び方

高く売るための不動産会社の選び方は、「複数社の査定比較」「実績と得意エリアの確認」「担当者の対応力の見極め」の3軸で判断します。会社ごとに販売戦略や買主ネットワークが異なるため、依頼先の選定は売却価格に直結する重要な意思決定です。
複数社の査定結果を比較する
複数社の査定結果を比較することで、自分の物件の適正な売却価格レンジが見えてきます。1社の査定額だけでは、相場と比較して妥当か判断できないためです。
査定依頼時のポイントは、次のとおりです。
- 3〜5社程度を目安に査定を依頼する
- 査定額の根拠(事例物件・成約価格・調整理由)を必ず確認する
- 極端に高い査定額には注意する
- 訪問査定で建物の状態まで評価してもらう
査定額が高い会社が必ずしも高く売れる会社とは限りません。媒介契約を取りたいために、相場と乖離した高値を提示するケースもあるためです。査定額そのものではなく、「根拠の説明力」を比較軸に据えることが、適正な判断につながります。
売却の実績や得意なエリアを確認する
不動産会社の売却実績と得意エリアを確認することで、自分の物件に適した会社かを見極めやすくなります。実績豊富な会社は、買主データベースや地域相場の知見を蓄積しているためです。
確認すべき項目は、次の通りです。
- 直近1年間の同エリアでの成約件数
- 戸建て・マンション・土地といった物件種別の実績
- 売却にかかった平均期間
- 自社サイトやポータルサイトでの広告の露出度
福井のような地方都市では、全国大手より地域密着型の不動産会社のほうが地元の買主層や相場に精通していことがあります。一方で、首都圏からの移住需要を取り込む場合は、広域ネットワークを持つ会社の活用も有効です。物件のタイプとエリアの特性に合わせて、売りたい物件に適した会社を選び分ける視点が重要となります。
担当者の対応力や提案内容を見極める
担当者の対応力と提案内容は、売却活動の質を決定づける要素です。会社の看板が同じでも、担当者によって販売戦略や情報提供の頻度が大きく異なるためです。
見極めのチェックポイントは、次の5点です。
- 質問への返答が早く、具体的か
- 物件のデメリットも正直に伝えるか
- 売却スケジュールを論理的に説明できるか
- 販売活動の報告頻度と方法が明確か
- 宅地建物取引士などの資格を保有しているか
特に、メリットだけを並べる担当者には注意が必要です。実務に精通した担当者ほど、リスクや想定される交渉局面を事前に共有してくれます。不動産会社選びは、「会社選び」であると同時に「担当者選び」でもあります。媒介契約前の面談で、論理性と誠実さの両面を見極めてください。
不動産を高く売るためにしてはいけないこと

不動産を高く売るためにしてはいけないことは、価格設定・査定依頼・内覧対応・リフォーム・スケジュール管理の5つの場面に存在します。高く売るコツの「裏返し」となる失敗の原因を把握して、売却活動の精度を高めましょう。
相場とかけ離れた価格で売り出す
相場とかけ離れた価格での売り出しは、売却期間の長期化と最終的な値下げを招きます。検索結果の上位に表示されにくく、買主候補の目に留まらないためです。
価格が高すぎる場合に起こる典型的な流れは、次の通りです。
- 売出し直後の問い合わせがほとんど入らない
- 数か月後に値下げを余儀なくされる
- 長期掲載物件として「売れ残り感」が出る
- 最終的に相場以下の価格で成約する
不動産ポータルサイトでは、掲載期間が長いほど買主からの値下げ交渉が強くなる傾向があります。価格設定は、査定額と相場をすり合わせたうえで戦略的に決めるべき要素です。相場から大きく外れた価格は、市場の冷たい反応によって修正を余儀なくなれます。
1社だけの査定で売却を決める
1社だけの査定で売却を決める行為は、不利な条件で契約してしまうリスクを高めます。比較対象がないため、査定額・媒介条件・販売戦略の妥当性を判断できないためです。
1社のみで決めた場合に起こりやすい問題は、次の通りです。
- 相場より低い価格で売却してしまう
- 専属専任媒介契約に偏った提案を受ける
- 販売活動が消極的でも気づけない
- 担当者の質を比較できない
媒介契約には、専属専任・専任・一般の3種類があります。複数社に依頼できる「一般媒介契約」を活用することで、競争原理を働かせることが可能です。ただし、一般媒介には、責任の所在が分散しやすいデメリットもあります。複数社と面談したうえで、信頼できる1社と専任契約を結ぶ流れが、現実的には満足度の高い選択肢です。
内覧対応を疎かにする
内覧対応を疎かにすると、価格交渉で不利な立場に立たされます。買主は内覧時の印象を基に購入意思を固めるため、対応の質が成約価格に直結するためです。
避けるべき内覧時の対応は、次の通りです。
- 室内の清掃や換気をしないまま迎える
- 売主自身が長時間付き添い、買主に圧迫感を与える
- 物件のデメリットを隠そうとする
- 質問にあいまいな返答をする
特に、生活臭やペットの臭いは買主の購入意欲を大きく下げる要因です。内覧前は窓を開けて換気し、可能であれば消臭剤を活用してください。買主の質問には、デメリットも含めて誠実に答えるほうが信頼を得られます。隠した事実が契約後に発覚すると、契約不適合責任を問われる可能性があります。
根拠のないリフォームを行う
根拠のないリフォームは、投資額を回収できないまま売却することにつながります。リフォーム費用を売却価格に上乗せできるとは限らないためです。
リフォームを判断するためのチェックポイントは、次の通りです。
- 不動産会社にリフォームの費用対効果を相談する
- 買主の好みが分かれる内装はそのままにする
- ハウスクリーニングや簡易補修で印象を改善する
- 設備の不具合だけ修繕する選択も検討する
買主の中には「自分好みにリフォームしたい」と考える層も一定数います。売主が高額なリフォームを行うより、価格を据え置いて買主にリフォーム費用分の余裕を残すほうが成約に至るケースもあります。リフォームすれば売れるわけではないため、市場ニーズと費用対効果を踏まえて冷静に判断しましょう。
売却スケジュールを決めずに進める
売却スケジュールを決めずに進めると、価格交渉で買主側に主導権を握られます。期限が曖昧だと、売主側の意思決定が後手に回るためです。
スケジュール設計で考慮すべき要素は、次の通りです。
- 住み替え先の購入や引越し時期
- 住宅ローンの残債と返済計画
- 譲渡所得税の3,000万円特別控除など税制優遇の適用期限
- 固定資産税の課税基準日(1月1日)
特に税制面では、所有期間5年を境に長期譲渡所得と短期譲渡所得で税率が大きく異なります。長期譲渡所得の税率は20.315%、短期譲渡所得の税率は39.63%です(※)。スケジュールを逆算して動くことで、税負担と売却価格の双方を最適化できます。
※参照元:国税庁「土地や建物を売ったとき」 (https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm)
不動産を高く売れた事例

不動産を高く売れた事例には、共通して「準備の質」と「タイミング」の戦略性があります。福井の不動産取引で実際に見聞きしたパターンを4つに整理し、再現性のあるポイントを抽出します。
売却時期を見極めて相場以上で売れた事例
売却時期の見極めだけで、相場を上回る価格での成約が実現した事例です。需要のピークに合わせて売り出すことで、複数の購入希望者が競合する状況を作り出せました。
需要が高まる1月下旬に、福井市内の中古マンションの売り出しを開始。年度替わりの転勤・進学需要が重なり、売出しから2週間で2件の購入申込みが入り、結果として希望価格を上回る金額で成約しました。本事例から得られる学びは、次の通りです。
- 売出し時期が12〜2月になるように逆算して準備する
- 競合物件が少ない時期を狙う
- 複数の購入申込みが入った場合は、条件交渉の余地が広がる
売却時期の選択は、コストをかけずに価格を引き上げられる数少ない手段です。
ホームステージングで印象を改善できた事例
ホームステージングを取り入れたことで、内覧時の印象が改善し、成約価格が上がった事例もあります。家具や小物を配置することで、買主に入居後の生活を具体的にイメージしてもらう手法です。
具体的には、空室状態だった築15年の戸建てで、リビングにソファとラグ、ダイニングテーブルを配置し、観葉植物を加えました。空室時の内覧では「狭く感じる」との声が多かったものの、ステージング後は内覧者の滞在時間が伸び、申込みにつながりました。ホームステージングの効果は、次の点に表れます。
- 部屋の広さや使い方が直感的に伝わる
- 写真撮影時の見栄えが大きく改善する
- 内覧者の購買意欲が高まる
費用は数万円から十数万円程度ですが、価格交渉での値引き要請を抑える効果が期待できます。
内覧対策を徹底して成約価格が上がった事例
内覧対策の徹底により値引き要請を退け、希望価格に近い金額で成約した事例もあります。買主が物件の状態に納得し、交渉の余地が狭まったからです。
ある築20年の戸建てでは、内覧前に次の準備を実施しました。
- ハウスクリーニングで水まわりを徹底洗浄
- 玄関と廊下の照明をLEDに交換
- 庭木の剪定と外構の清掃
- 物件履歴書(修繕履歴・点検記録)の用意
買主は内覧時に「想像以上に手入れが行き届いている」と評価し、当初予定していた100万円の値引き交渉を取り下げました。結果として、希望価格との差額がほぼゼロで成約に至りました。内覧対策は、価格を「守る」ための最終防衛線として機能します。
適切な価格設定で早期に高値で売却できた事例
適切な価格設定により、短期間かつ高値で売却できた事例も少なくありません。相場と需要を踏まえた価格で、買主に割安感と納得感を同時に与えられたためです。
福井市郊外のある土地の売却では、相場を踏まえて売出価格を相場+5%に設定しました。広告掲載開始から1か月以内に3件の問い合わせが入り、買主同士の比較検討を経て売出価格満額で成約しました。本事例から導かれるポイントは、次の通りです。
- 相場の中央値ではなく、上限を意識した価格設定が有効な場合がある
- 売出し直後の反響数で価格の妥当性を判断する
- 反響が少ない場合は、早めに価格戦略を見直す
価格設定は「高ければよい」「安ければ売れる」という単純な話ではなく、市場との対話を続ける動的なプロセスです。
福井で不動産を高く売りたいときは宮永不動産にご相談ください
不動産を高く売るためには、相場の正確な把握と適切な売却方法・時期の選択、物件の見せ方、そして信頼できる不動産会社と担当者の選定が欠かせません。さらに、避けるべき行動を事前に理解しておくことで、売却活動の精度は大きく高まります。「いくらで売れるのか分からない」「どの会社に任せればよいか迷う」といった不安は、信頼できる専門家に相談することで解消できます。
本記事の監修者
宮永真孝(ミヤナガマサタカ)
所属
株式会社宮永不動産
役職
代表取締役
保有資格
宅地建物取引士/二級建築士/不動産コンサルティングマスター/賃貸不動産経営管理士/相続対策専門士/土地活用プランナー/古民家鑑定士/福井県震災建築物応急危険度判定士/一級土木施工管理技士/測量士/コンクリート技師/二種下水道技術検定
自己紹介
土木建設業でコンクリート構造物や土地に関する設計・施工の経験を積み、二級建築士として建築業務にも携わっています。不動産コンサルティングマスターとして資産活用の提案も行うほか、福井県宅地建物取引業協会の理事・無料相談員として幅広い不動産相談に対応しています。建築・土地・不動産の知識と経験を活かし、お客様一人ひとりに寄り添ったご提案を心掛けています。
宮永不動産は、福井県に密着して不動産の売買・賃貸管理・相続対策を行う地域専門の不動産会社です。代表は宅地建物取引士・不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士・2級建築士などの資格を保有し、福井県宅地建物取引業協会の相談員としても活動しています。査定から販売戦略の立案、内覧サポート、税務面のアドバイスまで、ワンストップで対応可能です。無料の訪問査定・売却相談も承っております。福井で不動産売却をご検討の方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
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