戸建ての売却を考えているものの、何から始めればよいのか分からず、お悩みではありませんか。売却には査定や媒介契約、売買契約、決済など複数の手続きがあり、初めての方には難しく感じられます。
そこで本記事では、戸建てを売却する流れを8つのステップで解説し、売却が難しい理由や成功のコツ、よくある質問まで、順を追ってご紹介します。記事を読み終えると、売却までの流れと次に取るべき行動が分かりますので、ぜひご覧ください。
戸建てを売却する流れ

戸建ての売却は、目的の整理から始まり、査定、媒介契約、売却活動、条件交渉、売買契約、決済、売却後の手続きまで、段階を踏んで進む流れです。各ステップの役割を理解すると、次に何をすべきかが明確になります。ここでは、標準的な売却の流れを順番に解説します。
売却の目的を整理して相場を調べる
売却の第一歩は、目的を明確にすることです。目的が定まらないと、売却時期や価格設定の判断軸がぶれるため、まずは転居先の確保や資金計画など、売却に求める条件を整理します。
売却の目的は、住み替えや資金調達、相続対策など人によって異なります。目的に合わせて売却時期や価格の優先順位を決めると、後の判断がぶれません。
次に、周辺の成約事例や公示地価を参考に、おおよその相場を把握します。公示地価は、国土交通省が毎年公表する土地の価格情報です。
※参照元:国土交通省「地価公示」(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html)
相場の確認には、国土交通省が運営する不動産情報ライブラリも役立ちます。不動産情報ライブラリでは、不動産の取引価格や地価公示などの価格情報、防災情報、都市計画情報、周辺施設情報を閲覧できます。
※参照元:国土交通省「不動産情報ライブラリ」(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)。
不動産会社へ査定を依頼する
目的と相場が整理できたら、不動産会社へ査定を依頼します。査定とは、対象物件の売却価格の目安を算出する作業で、無料で依頼できる会社がほとんどです。査定の方法は、次の2種類に分かれます。
- 訪問査定:担当者が物件を訪問し、建物の状態や周辺環境を確認して価格を算出する方法
- 机上査定:登録情報や周辺の成約事例をもとに、訪問せずに価格を算出する方法
査定額は会社によって異なるため、複数の会社に依頼すると、相場の幅を把握できます。複数の査定結果を比べると、価格の妥当性も見極めやすくなります。
媒介契約を締結する
売却活動を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。媒介契約とは、不動産会社が売主に代わって購入希望者を探す契約です。媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
媒介契約の種類は、売却活動の進め方に影響します。3種類の契約を複数の軸で比較すると、次の表の通りです。
| 契約の種類 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
| 依頼できる会社数 | 複数 | 1社 | 1社 |
| 自己発見取引 | 可能 | 可能 | 不可 |
| レインズへの登録 | 制限なし | 契約締結から7日以内 | 契約締結から5日以内 |
| 売却活動の報告 | 義務なし | 定期報告あり(2週間に1回以上) | 定期報告あり(1週間に1回以上) |
| 有効期間 | 制限なし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間は、3ヶ月を超えて設定できません。
※参照元:国土交通省「媒介契約制度の施行等について」
(https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/015/74000432/74000432.html)
契約の種類によって依頼できる会社数や報告義務が異なるため、売却方針に合った契約を選びます。契約内容を確認し、疑問があれば契約前に解消します。
売却活動・内覧対応を行う
媒介契約を締結したら、売却活動を開始します。売却活動では、物件情報の登録やチラシの配布、インターネット広告の掲載、購入希望者への案内を行うのが主な役割です。
購入希望者が物件を見学する内覧では、清掃や整理整頓を済ませ、好印象を残すよう心がけます。購入希望者が生活イメージを描けるよう、照明や換気にも配慮してください。内覧の予約が入ったら、当日までに室内を整え、物件の魅力を伝える資料を用意するのがおすすめです。
売却活動の期間中は、不動産会社から進捗状況の報告を受け、売り出し価格の見直しも検討しましょう。
購入希望者と条件を交渉する
売却活動中に購入希望者が現れたら、売買条件の交渉を行います。交渉の対象となるのは、次の3点です。
- 売買価格
- 引き渡し時期
- 設備の扱い
購入希望者から価格の値下げ要望が出ることもあるため、対応を事前に考えておくのがおすすめです。値下げに応じるかどうかは、売却目的や資金計画に照らして判断します。交渉がまとまったら、不動産会社が売買契約の準備を進めます。
条件交渉では、価格だけでなく、引き渡し時期や残置物の処理なども含めて合意内容を明確にするのがポイントです。
売買契約を締結する
条件交渉が成立したら、売買契約を締結します。売買契約では、売買価格、手付金、引き渡し時期、契約違反時の違約金などを定めます。
契約当日は、宅地建物取引士による重要事項説明を受けたうえで、売買契約書に署名・押印する流れです。重要事項説明とは、宅地建物取引士が物件の権利関係や法令上の制限などを説明する手続きです。
売買契約書には、物件の引き渡し時期や設備の範囲が明記されます。契約時に手付金が支払われ、残金は決済時に支払われます。契約内容を十分に確認し、不明な点は契約前に解消しておくことが重要です。
決済・物件の引き渡しを行う
売買契約の成立後、決済と物件の引き渡しを行います。決済は、購入希望者から売買代金の残金を受け取り、所有権移転の登記に必要な書類を売主が提出する流れです。決済と同時に、鍵の引き渡しや引っ越しの完了を行います。
決済は、売買契約書に定めた日程で実施されるのが通例です。決済前に、登記費用や仲介手数料などの精算内容を確認するのがおすすめです。決済の前日には、売買代金の入金状況を確認します。
決済が完了すると、売買代金が売主に入金され、物件の所有権が購入希望者に移ります。
確定申告など売却後の手続きを行う
売却が完了したら、確定申告などの売却後の手続きを行います。売却で利益が出た場合は、譲渡所得として確定申告が必要です。マイホームを売却した場合は、譲渡所得から3,000万円を上限に控除できる特例があります。
※参照元:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)
確定申告は、売却した年の翌年に行います。申告に必要な書類は、売買契約書や登記費用の領収書などです。譲渡所得の計算には、購入時の契約書や領収書の保管が役立ちます。
税金の手続きに不安がある場合は、税理士に相談するのがおすすめです。申告期限に間に合わない場合は、税務署に相談すると対応方法を案内してもらえます。
戸建ての売却が難しい理由

戸建ての売却は、マンションと比べて難しいと感じる場面があります。売却が難しいとされる理由を理解すると、対策を講じやすくなります。戸建ての売却が難しい理由は、主に3つです。理由が分かると、売却前に取るべき対策も見えてきます。
資産価値が築年数とともに下がるため
戸建ての資産価値は、築年数とともに下がる傾向があります。建物は経年により劣化するため、新築時と比べて価格が下がりやすいです。
特に、土地の価値が中心となる戸建ては、建物の状態が査定額に大きく影響します。築年数が古い物件では、購入希望者がリフォーム費用を考慮して価格を判断するため、売り出し価格を慎重に設定する必要があります。
建物の価値を正確に把握するには、不動産会社の査定を受けるのがおすすめです。築年数が経過した物件でも、土地の立地価値によって売却できる範囲は変わります。
立地や周辺環境によって需要が左右されるため
戸建ての需要は、立地や周辺環境によって大きく左右されます。駅からの距離、周辺の商業施設、学校の有無、日当たりや騒音などが、購入希望者の判断材料です。
同じような物件でも、立地条件が良いほど需要が高まり、売却がスムーズに進みます。立地の価値を客観的に把握するには、周辺の成約事例や公示地価を参考にするのがおすすめです。
周辺環境の調査では、実際に現地を歩いて確認すると購入希望者の視点に近づけます。立地の特性を理解したうえで、物件の魅力を伝えることが売却成功の鍵です。
適正価格で売り出さないと売れにくいため
戸建ては、適正な価格で売り出さないと売れにくい傾向があります。売り出し価格が相場より高いと購入希望者が集まらず、売却活動が長引く原因です。
一方で、相場より低い価格で売り出すと、早期に売れる反面、売却益が減るおそれがあります。適正価格を設定するには、複数の不動産会社の査定結果を比較し、周辺の成約事例を参考にするのがおすすめです。
売り出し価格は、売却活動を始めてから見直すことも可能です。価格設定は売却の成否を左右するため、専門家の意見を聞きながら決めましょう。
戸建てを売却するコツ

戸建ての売却を成功させるには、いくつかのコツがあります。売却活動を始める前に対策を講じると、成約までの期間を短縮できます。戸建て売却で効果の高いコツは、主に4つです。コツを押さえると、売却活動を効率よく進められます。
複数の不動産会社に査定を依頼する
戸建ての売却では、複数の不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。査定額は会社によって判断が異なるため、1社だけの査定では相場を把握しにくいです。
複数の査定結果を比較すると、価格の幅や会社ごとの考え方が分かります。査定は無料で依頼できる会社がほとんどです。複数の会社に依頼する際は、査定の根拠を説明してもらい、納得できる会社を選びます。
査定結果の比較は、適正な売り出し価格を決める材料です。査定の依頼は、電話やインターネットから申し込めます。
戸建て売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶ
戸建て売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶと、売却がスムーズに進みます。戸建てはマンションと異なり、土地と建物を一体で評価するため、専門的な知識が求められます。実績が豊富な会社は、適正な価格設定や購入希望者の集客などが強みです。
会社を選ぶ際は、戸建ての売却実績や担当者の対応を確認するのがポイントです。複数の会社を比較し、説明が分かりやすく、信頼できる会社に依頼すると、売却活動を安心して進められます。実績の確認は、会社のホームページや担当者への質問で行えます。
売却時期と価格設定を見極める
売却時期と価格設定を見極めると、売却の成功率が高まります。戸建ての需要は季節や地域の動向によって変化し、引っ越しが多い時期は購入希望者が増える傾向があります。
価格設定では、最初の売り出し価格が成約の行方を左右する点です。売り出し直後の反響が成約につながりやすいため、相場を踏まえた適正な価格で売り出します。売却時期と価格設定は、不動産会社の担当者と相談しながら決めるのがおすすめです。売却時期の見極めには、地域の成約動向の確認が役立ちます。
内覧前に清掃やホームステージングを行う
内覧前に清掃やホームステージングを行うと、購入希望者の印象が良くなります。ホームステージングとは、家具やインテリアを配置して、物件の魅力を引き出す方法です。
清掃が行き届いた物件は、購入希望者に良い印象を与えます。リビングや寝室の配置を工夫し、生活動線が見えるようにするのがポイントです。専門業者にホームステージングを依頼する方法もあります。
内覧で好印象を残すと、購入意欲が高まり、条件交渉が有利に進む傾向です。照明やカーテンの調整も、室内の印象を左右します。
戸建ての売却に関するよくある質問

戸建ての売却を検討する際は、期間や住宅ローン、費用などについて疑問を持つ方が多くいます。戸建ての売却に関するよくある質問を4つ取り上げ、分かりやすく回答します。売却を進める前に疑問を解消し、安心して進めましょう。
どのくらいの期間がかかりますか?
戸建ての売却にかかる期間は、物件の状態や価格設定、地域の需要によって異なります。売却活動の目安となるのが、専任媒介契約の有効期間です。専任媒介契約と専属専任媒介契約の有効期間は3ヶ月以内と定められています。
※参照元:国土交通省「媒介契約制度の施行等について」(https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/015/74000432/74000432.html)
有効期間を一つの目安として、売却活動を進めるのが基本です。売り出し価格が適正であれば、早期に成約する場合もあります。売却期間は、売り出し後の反響や交渉の進み具合によって前後します。
売却活動を始める前に、転居先の目処を立て、売却後の生活を計画的に進めることが重要です。売却が長引く場合は、売り出し価格の見直しを不動産会社に相談しましょう。
住宅ローンが残っていても売却できますか?
住宅ローンが残っていても、戸建ての売却はできます。残債がある場合は、売却代金で住宅ローンを完済するのが通例です。売却価格が残債を上回れば、売却代金から残債を精算できます。
売却価格が残債を下回る場合は、金融機関と協議し、任意売却などの方法を検討します。住宅ローンが残っている物件の売却では、不動産会社と金融機関の連携が欠かせません。
売却前に、残債の金額と売却価格の見込みを確認することが重要です。残債の状況に合わせて、売却方法を選びましょう。
住みながら売却できますか?
住みながらの戸建て売却も選択肢の一つです。住みながら売却する場合は、内覧の日程を調整し、室内を常に整えておくことがポイントになります。購入希望者の内覧に合わせて、家具の配置や清掃状態を整えるのがおすすめです。
引き渡し時期は、売主の引っ越し予定に合わせて設定できます。住みながらの売却は、転居先を確保してから進めるため、生活の負担が少ない点がメリットです。内覧の日程を平日の夜や休日に設定する方法もあります。売却と並行して、転居先の準備を進めましょう。
どんな費用や税金が必要ですか?
戸建ての売却には、仲介手数料や登記費用、印紙税などの費用がかかります。売却で利益が出た場合は、譲渡所得税が課されます。
- 所有期間が5年を超えると長期譲渡所得となり、税率は所得税と住民税と復興特別所得税を合わせて20.315%である
- 所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得となり、税率は39.63%である
- マイホームを売却した場合は、譲渡所得から3000万円を上限に控除できる特例がある
※参照元:
国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm)
国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm)
国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)
仲介手数料の金額は、売買価格に応じて変わります。税金の計算は複雑なため、税理士や不動産会社に相談するのがおすすめです。売却費用の内訳は、契約前に不動産会社へ確認すると不明点を解消できます。
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戸建ての売却は、正しい知識と適切なサポートがあれば、安心して進められます。本記事のポイントは、以下の通りです。
- 売却の流れは、目的の整理から始まり、査定、媒介契約、売却活動、契約、決済、売却後の手続きまで段階を踏んで進む
- 売却が難しい理由を理解し、複数社の査定比較や実績のある会社選びなどのコツを実践すると、売却をスムーズに進められる
- 税金や費用の疑問は、国税庁の情報や専門家への相談で解消できる
本記事の監修者
宮永真孝(ミヤナガマサタカ)
所属
株式会社宮永不動産
役職
代表取締役
保有資格
宅地建物取引士/二級建築士/不動産コンサルティングマスター/賃貸不動産経営管理士/相続対策専門士/土地活用プランナー/古民家鑑定士/福井県震災建築物応急危険度判定士/一級土木施工管理技士/測量士/コンクリート技師/二種下水道技術検定
自己紹介
土木建設業でコンクリート構造物や土地に関する設計・施工の経験を積み、二級建築士として建築業務にも携わっています。不動産コンサルティングマスターとして資産活用の提案も行うほか、福井県宅地建物取引業協会の理事・無料相談員として幅広い不動産相談に対応しています。建築・土地・不動産の知識と経験を活かし、お客様一人ひとりに寄り添ったご提案を心掛けています。
株式会社宮永不動産は、福井県で戸建ての売却をサポートする不動産会社です。宅地建物取引士などの資格を持つ専門スタッフが、査定から契約、決済まで一貫して対応します。売却のご相談は無料で受け付けており、売却時期や価格設定についても丁寧にアドバイスしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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